ビジネスでのデザインの効果

「デザインの会社をやっています」と言うと、「Webデザインですか?」「グラフィックデザインですか?」と、デザインの領域の話と捉えられることがよくあります。

私自身のキャリアのスタートはプロダクトデザイン(インダストリアルデザイン、工業デザインとも言う)で、モニタやテレビ、メガネやサングラス、家電に医療機器など、身の回りで使われるモノ、いわゆる工業製品のデザインからでした。

最近はプロダクトデザインの隣接領域として、スマートフォン等のソフトのデザイン(UI)や、ソフトやシステムがもたらす体験(UX)のデザインもあり、人によって「デザイン」という言葉の受け取り方=意味するところには相当の幅があるなと感じます。

そんな中、初めてあった経営者やマネージャーの方に対して、リデグがデザインを通じてどんなお役に立てるのかを話をする際には、経済産業省・特許庁がまとめた『「デザイン経営 」宣言』という資料から引用して説明を始めることにしています。

デザインは、企業が大切にしている価値、それを実現しようとする意志を表現する営みである。それは、個々の製品の外見を好感度の高いものにするだけではない。顧客が企業と接点を持つあらゆる体験に、その価値や意志を徹底させ、それが一貫したメッセージとして伝わることで、他の企業では代替できないと顧客が思うブランド価値が生まれる。さらに、デザインは、イノベーションを実現する力になる。なぜか。デザインは、人々が気づかないニーズを掘り起こし、事業にしていく営みでもあるからだ。供給側の思い込みを排除し、対象に影響を与えないように観察する。そうして気づいた潜在的なニーズを、企業の価値と意志に照らし合わせる。誰のために何をしたいのかという原点に立ち返ることで、既存の事業に縛られずに、事業化を構想できる。

産業競争力とデザインを考える研究会報告書『「デザイン経営」宣言』(2018年5月23日、経済産業省・特許庁)

https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/kenkyukai/kyousou-design/document/index/01houkokusho.pdf

短い文章の中に、たくさんの大事なことが要約されているのですが、添付されている図を見た方がわかりやすいかと思います。

つまり、ビジネスとしてデザインの効果は2つ。ブランドの構築とイノベーションです。これはそのまま、どのような時にデザイン会社にお声がけいただくか、であるとも言えそうです。

もう少し重ねると、プロダクトデザイン・グラフィックデザイン・Webデザイン・UI/UXデザインなどの単語はデザインの専門領域を指すものであって、それぞれの領域の存在目的はブランド構築かイノベーションのどちらかをサポートするものであるということになります。

どんなブランドを構築したいのか、どんなイノベーションを目指しているのか、経営者やマネージャーの方と一緒に考えながら、状況に応じて適切な専門領域のデザインを提供するのがデザインの会社の役割です(リデグの場合は、2つのうちイノベーションのサポートを得意としています)。

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